年をとると…

だいぶ以前の話。

夕飯を食いながらテレビを観ていた。

たまたま点けたチャンネルが、

歌番組だった。

テレビは、実はどうでも良かった。

気晴らしに観ただけだった。

はじめは聴き流していたが、

ふとその歌詞が気になりだした。

そしてじっと聴き入ってしまい、

しまいに、涙が溢れた。

ああ、

年をとったなと思った。

懐メロは幾度となく聴いてはいたが、

あまり古いものは私も知らないし、

そうした歌は、私の親の世代の歌のように思われた。

二葉百合子の「岸壁の母」も、

私の親の世代がよく唄った歌だろう。

若い頃から、

この歌がテレビから流れると、

陰気な気分にさせられた。

そして、すぐチャンネルを回していた。

大嫌いな歌だった。

私は、戦争を知らない子供たち、のひとりだ。

しかし、こうして中年になり、

両親もいなくなり、

また人の親となって永く生きていると、

なにか他の景色がみえてくる。

それは流行りものでなく、

浮き沈みするようなものでもなく、

情というか、

人生に対する愛おしさとでもいおうか。

人ってつくづく不思議な存在だと思う。

いろんなものを背負って

そしていつかは去ってゆく…

生きるおかしさも

捨てたい悲哀も、

人は抱えきれないものを

幾つも幾つも背負い、

一体、何処へ行くのだろうかと…

気になるタイトル

一日に一度は、世間でなにが起きているのか、

一応、ニュースやポータルサイトをチェックする。

その際、時間がもったいないので、

気になる見出しやタイトルのみクリックする。

が、自分の興味範囲外の記事でも、タイトルが上手いと気を惹かれる。

そんな観点で眺めると、メディアの世界には、

見出しの実力者とか曲者たちがなんと多いことか。

で、今日はその実例をいくつか挙げてみる。

その1

ビッグダディ争奪戦必至! 離婚した元妻・○○さんは仰天の告白本を出版へ

↑最近、このビッグダディという正体不明の人物記事に、

よくお目にかかる。

一体このビッグ…は誰で、どんな事件が起きているのだろうか?

無知の私は、そこが気が気ではない。

で少しチェックしてみると、どうも大家族の生活を描いたテレビ番組が、

コトの発端らしい。

で、ここに登場する子沢山のおやじがビッグダディ。

こいつがまたなかなかの奴で、いまや有名人らしいと分かる。

彼のやることなすことが、いちいちニュースになる。

ふーん。

そんなこと、どーでもいいじゃないかと思うが、

どうも世間はそうではないらしい。

やはり私がズレておりました。

どうもスイマセン!

それにしても上手いタイトルだな…

その2

実は相当なイケメンだった…フランシスコ・ザビエルという男

↑ザビエルは宣教師。学生のときに習ったので、あの肖像画は覚えている。

確か、アタマの真ん中が禿げていて、それ以外はキリスト教の布教のため、

種子島にやってきた…

そのくらいの認知度しかない。

なのに、実はそのおっさんが相当なイケメンだったという、

意外なアプローチがこちらの琴線に触れてしまった。

だからどーしたという訳ではないが、

なぜザビエルがイケメンだったと今ごろ分かったのか、

そこが凄く気になってしまった。

で、少し記事を眺めていると、ヨーロッパに残るザビエルの肖像画は、

禿げてないらしい。

髪フサフサ。

で、そのマスクがスター並みのいいオトコなのだ。

ふーん。

やはりというべきか、どうでもいいじゃないかと思うのだが、

結局、このタイトルの上手さに、してやられた訳だ。

その3

素っ気ない態度、でも本当は…あの人があなたに抱く「本音と期待」

↑今日はツイテナイ、そんな日はちょっと運勢でも観てみようと、

星座別占いを眺めていたら、このタイトルに出くわした。

上手いと思いましたね。

占いでこんなことまで分かるのかと、まずそこが凄いというか…

いや、ホントは疑わしい。

が、ツボを外していない。

このややっこしいヘッドラインというか言い回しのなかに、

人の感情の複雑さが見え隠れしている。

そこに妙なリアリティがある。

これは、気持ちが定まらないとか、不安定なおつき合いをしている人なら、

即刻引っかかるだろうと思う。

私もこのくらいのフレーズを常時絞り出さないと、

いまに食いっぱぐれるだろうな。

ベンキョーになりました。

その4

恋愛力アップ!女の美肌を引き出す秘密、今話題の和漢植物とは?

↑は、たまたま載っていた広告文のフレーズだが、

女性だったらかなり気になるに違いない。

で、私も興味本位でクリックしてみました。

と、「ハリ」と「潤い」、そして美白効果という単語が、

本文中に乱舞する。

とにかく、女性はこのあたりの単語に弱い。

で、要するにこの商品は何なのか。

これは相当読み進まないと分からない。

で、途中から石鹸と正体を明かす。

さらに、「900種類の和漢植物から、石鹸マイスターが最適な和漢だけを選び抜き…」

とある。

和漢植物というのも正体不明なのだが、

石鹸マイスターということばが、かなりの高得点を獲得しているように思う。

ふーん。たかが…、されど石鹸なのである。

売り方が侮れない。

その5

ポテトチップスを食べだしたらとまらないワケ。学者がこの謎に挑む

↑実は、こんなことは私にとっては、再三の如くで申し訳ないが、

どーでもいいこと。

しかしです、タイトルが上手いので、

つい「どんな訳?」となってしまい、クリックしてしまう。

きっと、記事の視点というか、話題の切り口がいい。

むかし、かっぱえびせんをムシャムシャやっていて、

やめられないとまらない経験の持ち主は、

更にかなりの確率で読み進むことと思います。

特に、学者さんがこんな下世話なことを調べるというところが、

このフレーズの肝なのかも知れない。

で、この記事を私も読んでみました。

以下………

興味深いのは、ポテトチップを摂取すると、報酬と依存をつかさどる脳領域で高い活動が確認されたことです。
これは脳がもっと欲しい!と求めているということ。さらに行動、運動を担当する領域でも強い反応が見られ、
反対に眠りを調整する脳領域では弱い反応しか確認されなかったそうです。

ではポテトチップの何が脳の特定領域をそれほどまでにアクティブにさせるのか。

この答えを出すには、分子レベルの研究が必要らしくまだ解明に至ってません。この研究が進めば、
スナックや甘いものへの衝動を抑えられる食品や薬の開発につながるかもしれないと学者が期待しています。

※当記事は、ハイブリッド翻訳のワールドジャンパー(http://www.worldjumper.com)の協力により執筆されました。

(本記事のソースは、マイナビウーマン)

………ここまで

皆さん、この記事の意味、分かります?

どうも時間の無駄使いをしてしまったようです。

あと、

42才、女が超無添加ジュースを飲んだら…

というのもありましたがここらで切り上げます。

以上、見出しのプロというか曲者フレーズというか、

とにかくクロウトの仕事の実例を拝見した訳ですが、

私からみると、脱帽の数々でした。

ベンキョーし直します。

で、反対に皆さんにはですね、

無駄な時間の消費やいらぬ金銭の出費にはくれぐれもご注意をと、

一応喚起を促しておきますね。

仮想狂気(もうひとつの春)

悲しみも歓びも

分からない

はい

分からないんですと

異次元のまなざし

ひねもすのたり

なにも得ず

なにも語らず

そうして

ディスプレイの中に棲む

春はあけぼの

夢ごこち

窓をあけると

そよ風とPM2.5と黄砂

4月の新生活

駅のホームで

電車止まる

原因は俺の同僚

あの世へ出勤

ミサイルも地震も噴火も

放射能も

なにも怖がることはありませんと

黒い尼僧が笑う

ひばりさえずり

高くはばたき

ここよここよと

睡るひとのありか

小川のせせらぎ

ひとが流れる

みんな息絶えて

桜咲く

光る陽ざし

こぼれるほどの緑

花咲き乱れ

ほんの隙間に

春の狂気が隠れてる

啓示 (その伝達と受信について)

午前2時

漆黒のゆらぎ

生命の想念

キキッと

宇宙のつぶやき

銀河の渚に

独り

国境もミサイルも

躰の痛みも

憂鬱も

天の川の

ゆりかごに睡る

ときの旅人

鋭意なまなざし

思索する宇宙

浮遊 浮遊

ころりと

こてんと

ひき汐歩いて

塵を振り払い

塵をまき散らし

細胞

欲望

現世

来世かっ

えいっ

くそっ

やっぱり

生きてみようかと

いきいき健康講座「ジャンクフードの食い方」

或る本で読んだが、

いまは人が死んでも、

昔のようになかなか腐らないそうである。

嘘のような本当の話だ。

その原因はというと、永年食物からとりこんだ防腐剤だという説がある。

或る本としたが、

確か養老孟司さんの著書だったように思う。

中国の食品汚染は有名だが、我が国だって分からない。

というか、すでにいろいろなものが入っている。

例えば、商品を長持ちさせる、味を良くする、見た目を綺麗にする。

そんな目的で、食品添加物が混ぜられている。

他、農薬は言うに及ばず、

放射能に汚染された食品も出回っているのかも知れない。

これらを徹底的に排除するには、

生産から流通経路までが明らかなものを選ばなければならない。

しかし、こうした商品に限って値段は高い。

これは、富裕層のみ可能な選択。

また、外食で済ませなくてはならないこともある。

この場合も、身元の確かな食材を使用しているか否か、

そこは怪しい。

とまあ私たち庶民は、

食品添加物や他の汚染物質にまみれたものをせっせと食っている。

それを避けて通る訳にはいかない。

私はよくジャンクフードを食うが、

あるときから、

この避けられない汚染から身を守るためにはどうしたら良いか?

そのことを突き詰めて考えたことがある。

結果、こういう結論に達した。

まず、脳を騙す、という行為。

なぜこの結論なのか、だが、

まず人間は、ネガティブなもの・事柄に出会うと、

身体が拒否する。

こわばる。

この所見は、元を正せば、脳の仕業だ。

結果、例えば汚いものを食ったりすると、

後で悪心がしたりお腹が痛くなったりする。

これは、汚いものが悪心や腹痛を誘発したのではなく、

ほとんどの場合は、脳がそうさせている。

で、本当にバイ菌やウィルスが入った場合の症状だが、

この場合も、頑として脳がノーと指令すれば、症状は軽く済む。

これは、ある程度本当らしい。

広義のフラシーボ効果だ。

また、食中毒に関してだが、

あれも症状の酷い人とピンピンしている人がいる。

これが抵抗力の差だとしたら、その差は何なのか?

これも答えが明快で、身体の健康度や疲労度の差に加え、

性格の差で決まる。

要は、「平気、たいしたことない」と考えている人の症状は軽い。

このように、メンタルは身体を左右する。

で、ここから理屈は一気に飛躍し、

脳とメンタルの話に移る。

前述のように脳を騙すとしたが、

正確には強いメンタルをもてば、怖いものはない。

という訳で、強いメンタルの前では、

食品添加物も汚染も毒が効きづらい、

という理論が成り立つ。

その一歩手前に、現在の私は立っている(?)

腐ったものを美味いといって食う………

これはちょっとオーバーだが、

サバイバル的には必要な知識だ。

また、添加物のごってり入ったジャンクを、

健康食品を採るようにありがたくいただく。

さらに、汚染された食材をよしよしといって、

天に感謝しつつ食う姿勢。

このようにして、

我々はなにものにも負けない健康体を築くことが必要だ。

気持ちひとつ!

鍵はメンタルが握っている。

これは疑いようがない。

余談だが、これをコピー的に表現すると、

あなたのカラダは、あなたのメンタルがつくる。

または、

カラダって、実はメンタル。

となる。

さて、こうした強靱なメンタルを如何につくるかだが、

ここで、私のアイディアを紹介しよう。

まず、なにごとも我慢する習慣をつける。

これは言い換えれば、欲望に勝つ精神力を鍛えること。

そして、極めつけは貧乏と借金だ。

これらの辛酸を舐め尽くし、それを乗り越えると、

不思議と怖いものはなくなる。

同時に、根拠のない自信も育ち、

神がかり的なことさえ体得できる体質となる。

以上が、私が現在研究中の理論なのだが、

どうだろうか?

皆さんのご意見を伺いたい次第である!

「青い瞳のステラ」 大好きだった故・柳ジョージさんに捧ぐ

伊勢佐木町の賑わいを眺めながら、

R16を南下する。

山元町のトンネルを抜け、幅広の道に出る。

両側には商店街が続き、

左にあこがれのリキシャルームの看板がみえた。

本牧だ。

いつか彼女ができたら、ここへ誘いたい。

いつもそう思っていた。

右にリンディ、派手なディスコ。

ここはたまに来るが、フロアの真ん中にアメ車が鎮座する、

それ以上でも以下でもない、赤い色が似合うディスコだ。

僕は小湊の信号を過ぎたあたりからスピードを落とし、

フェンスが続く芝生の向こうをじっと凝視する。

45番のペンキの札が近ずく。

その立て札が立つ芝生の家に、あの子がいる。

名は知らない。

ブロンドの髪を長く伸ばし、

そばかすの細面の顔に、

澄んだ青い宝石のようなまなざしで、

いつもフェンスの外側をみつめている。

僕は彼女のことを、勝手にステラと名付けた。

ステラは真っ白いペンキの家に、

軍人の父と教師の母親と、まだ幼い弟と、

3人で暮している。

ステラはいつも黄色のワンピースを着ている。

開いた胸元に、

きらきらと光るペンダントを

いつもぶら下げていた。

僕のカーラジオからは、ブルースが流れる。

FEN放送は、たまにこんなのも流すのか。

そんなことをぼんやり考える。

この歌は、黒人の労働の辛さを語った悲しみの歌。

南部テネシーあたりの歌だろう。

ゆっくりと流れる景色のなかに、

遠く貨物船が煙を吐いている。

運良く今日は赤信号にひっかかる。

45番の家の正面。

僕はフェンスの向こうをじっとみる。

ステラの弟が庭のプールではしゃいでいるのがみえた。

傍らで母親が、

じょうろで弟の頭に水をかけてあげている。

光る芝生と水のきらめき。

極彩色のビニールプールと、

淡い色の洗濯物が、

夏の陽ざしに鮮やかさを増す。

一度、ステラを

根岸の競馬場跡の近くの喫茶店で

見かけたことがある。

このときはどきどきしたが、

なんてことはない。

ステラはボーイフレンドと一緒で、

あのいつものワンピース姿ではなく、

派手な化粧にTシャツ姿で、

きらきらと輝くペンダントはしていなかった。

ステラとすれ違うとき、

彼女はふっと微笑んで、

どうした訳か、

僕にキャンディをくれた。

そのときのキャンディを包んでいた英字の新聞紙は、

まだとってあるというのに…

あれから一ヶ月。

ステラをみかけない。

この道を、昼夕と2度通るが、

今日もステラはいないようだ。

あの派手な化粧とボーイフレンド…

ステラが何処へ行ったのか、

誰か知らないかい。

お前の夢は金で買えるのか?

いきなり偉そうな奴にこう問いかけられると、

こちらも返答に困る質問ではあります。

金で解決できそうなものもあれば、

そうでないものもポツポツあるような…

で、

この宝くじの新商品「ロト7」のTVCMのシーンは、

走るハイヤーの車内から始まる。

車中で、部下の妻夫木君が、

上司の柳葉さんに話かける。

「部長はロト7って知ってます?」

「知らないな」

つれない返事を返す柳葉。

が、なおも熱心に説明する妻夫木。

ここで、なにげにロト7の特長が語られる仕組み。

うまいな。

で、みるみる柳葉の顔がこわばる。

そして、

いい加減にしろとばかりに、柳葉がこう返答する。

「なあ…。お前の夢は金で買えるのか?」

……………!

カッコイイ!

ここんとこは、柳葉の見せ場である。

クールにキメテイル。

が、あめ玉を入れているような口が、やはり尖っている。

眼光鋭く、あれっ、室井さんか?と思いましたが、
妻夫木君が「部長」と問いかけるので、あっ部長なんだなと…

で、キャラ全く同じ。

柳葉は、もうずっとこれでいくのだろうと。
これで食っていけると思いますよ。

このキャラは、権利と同等の価値がある。

著作権ビジネスにも相通ずるものがありますね。

さて、1人になった妻夫木が、つぶやく。

「かっこいい。やばい、涙出そう」

と、ふと見た先の宝くじ売り場に、

なんと、

あの柳葉部長がいるではないか?

バツの悪いシーン。

双方の驚きの表情が印象的だ。

で、ここんとこが笑える。

で、一体このコミカルさはなんだろうと。

思うに、

建て前がもつおかしさなのではないかと…

部下の手前、カッコつけた柳葉部長の見栄も、

渋さとなる。

が、根本は建て前がもつ胡散臭さか。

私たちは、本音と建て前を使い分ける。

そこんとこは、痛いほど分かる。

ムカシからそうしてきた。

幼い頃、母が「つまらないものですが」と言って、

誰かに折り詰めを渡していたのを思い出した。

つまらないものか?

私は、このやりとりは変だと直感したが、

後々やはりこれでいいんだと…

そうして育ちました、ハイ。

そんな国の建て前を凝縮したような柳葉部長だが、

その彼の本音が丸見えになったとき、

下世話な私たちは笑えると同時に、

心底安堵する。

世の中、夢というか、

まあ、金でなんとかなるものもあれば、

そうでない奥深いものはいくらでもある。

そんなこと、観ている側は、当然織り込み済み。

が、ロト7という商品を鑑みるに、

このCMが観る人を笑わせ、油断させ、

本音のところを引き出して、

あわや宝くじ売り場へ向かわせようとする。

つくり手の、ある意味自虐的な発想も、

功を奏している。

充分、喚起力がある作品。

ちょっと褒め過ぎか。

回転寿司の怪

作家の伊集院静さんは、男の流儀にうるさい。

彼の通っている寿司屋は銀座にあるそうだ。

かといって、彼の通う店だから派手ではない、と思う。

おとなの男の流儀から推測するに、

彼は、路地裏に佇むこぢんまりとした店でほどほどの酒をたしなみ、

寡黙な板さんが出すネタをつまみ、二言三言ことばを交わし、

少し酔いがまわる頃に店を出る、とまあこうなる。

カッコイイ!

で、私の場合はというと、資金力もなく地域も田舎なので、

というか、男の流儀を貫くほどのものを持ちあわせていないので、

寿司を食うにしても、回転する店へと行くこととなる。

ここで、あえて男の流儀を通すなら、

まずキョロキョロしないこと。

静かにお茶を飲んで、余裕で皿に醤油を注ぐ。

減塩醤油ね。

で、ヤンママやガキたちに混じって戦いに挑めば良いのだ。

最近オープンした街道沿いの寿司店はいつも大盛況で、

30分や一時間待ちなんぞは当たり前。

いつぞや、私は皆の不意を突くような時間帯にここを訪れ、

待ち時間ゼロで席に通された。

ヤッタネ!

他の回転寿司店では前方に板さんらしき人を確認するも、

この人気店のカウンター前は無人。

かわりに液晶ディスプレイと派手なメニューのチラシ類が私を迎えてくれる。

おっと、目がチカチカする。

参った。

日頃、パソコンのディスプレイとにらめっこしている身なので、

コイツは嫌だなと思った。

なんといっても目が疲れる。

飯どきくらいリラックスしたい。

が、目の前を通り過ぎる皿を頂こうかと思ったが、

乗っているネタが幾分水気を失い、

皆の前を通り過ぎてゆく間に雑多な付着物もあるのだろうと推測。

仕方がないので、再びディスプレイに目をやる。

タッチパネルは幾分感度が悪い。

ある程度の力でタッチしないと反応しない。

ここは、iPadの技術を応用してもらいたい。

で、何が食いたいかをこのタッチパネルで追いかけることとなるが、

例えばサーモンひとつとっても、その種類が多いのにまず驚く。

炙ってあるやつとか、バルサミコ酢がけとか、

タルタルソース和えとか、

パネルを見ているうちになんだかイライラしてきて、

何でもいいから食わせろよ、となる。

ここで、カリフォルニアロールという食い物も食したが、

いまひとつ好きになれない。

そんな寿司はしらないねぇと、

あくまで江戸前にこだわるような啖呵のひとつも切りたいが、

伊集院さんのような甲斐性のない私は、

とりあえず炙りサーモンを注文する。

で、思ったが、

この寿司屋だけでなく世間ではどこもタッチパネルが普及している。

こうした操作にお年寄りがどのくらい対応できているのかが気になる。

とにかくムズカシイ世の中になってきたことだけは確かだ。

メニューもよくよくみるに、

ここは寿司だけではないことに気づく。

軽い量のたぬき蕎麦やうどんが食える。

フーン。

さらにチーズケーキとかモンブランもある。

アイスも当然のように置いてある。

他、焼き肉の類いもある。

おっと、ラーメンもあるぞ。

あれっ、コーヒーも飲めるな。

それもレギュラーコーヒー。

ええーっ、なんでもあるじゃん。

と、これには驚きました。

こうなると、これは単なる寿司屋ではなく、寿司を軸とした、

総合お好み食堂の様相。

フードコートともダブってくる。

私が幼年時によく母に連れて行ってもらった、

横浜高島屋の上の階のお好み食堂を思い出しましたね。

あそこは確かになんでも揃っていました。

でですね、

この寿司屋にいると次第に首が凝ってくることが分かった。

目がしょぼしょぼする。

そして落ち着かない。

ウーン。

それは、ディスプレイ画面とレーンを流れる寿司と

チラシなどのメニューの情報が、

いっぺんに大量に飛び込んでくることに起因するようだ。

相変わらず、まわりは皆凄い勢いで食っています。

歓談しているグループや家族連れも多いのですが、

皆一様に目は笑っていない。

常に獲物を捕らえる動物のように、

液晶パネルと目の前を流れる寿司は必ず見逃さない。

話半分というところ。

これはコワイ。

で、なんでこんなに繁盛するのかだが、

結局値段だろうとも思う。

お会計で驚いたが、とにかく安い。

他の回転寿司と較べても、明らかに安い。

あれだけ食ったんだからと思うが、この値段はもう寿司の値段ではない。

いうなればタンメンの値段。

道理で混む訳。

他の繁盛する要因を除いても、それだけで納得できる。

でですね、後日ふと気がついたのが、

あれだけみんなで食いまくって海は大丈夫か?

ということ。

少し社会派ぶった疑問ですが、

水産資源も有限だし、いまかなり減少傾向だと言うし…

で、生けすで育てている?

いや乱獲か。

日本人は海洋民族だしタコも食うしなぁ。

だから、海のいきものにとって日本人は天敵だ。

さらに、お隣の中国でも川魚から海の魚へと、食が移りつつある。

こうなると、日本の寿司屋が危ないのだ。

この店もそのうち立ちゆかなくなるな、などと

勝手な推測をたててしまうのでありました。

でさらによくよく思い返し、

あの環境下であの食い方はなんだろうと…

冷静に考えた訳です。

で、ブロイラーチキンの餌を食う様子を思い出しました。

たかが一寿司店の話なのですが、

これはもはや男の流儀などではなく、

現代日本人の流儀とでもいおうか、

そこから考えるべき深いテーマが潜んでいる、などと

勝手に小難しくこねくり回す私なのでありました。

本日は本音で…

スター伝説。

スターっていうのは辛いものだと思う。

南沙織だって百恵ちゃんだって、いまは伝説である。

どんな生活しているか、ほぼ皆知らない。

が、素人が思うに、

あまり人が集まるユルイところではしゃいだり、

のんびり羽なんか伸ばしてはいられないだろう、

ということ。

通報とか写真とか報道とかある訳で、

あの可愛いかった娘がとんでもばあさんに、

なんて見出しが躍る。

そこは、例え億の金を貰っていても、

本マグロが幾ら食えても、

ちょっと辛いんじゃないだろうか?

この生活は死ぬまで続く。

一般人をですね、まあ天気に例えれば、

うす曇りのような人生なのか知らんけれど、

スターのように、あまりにコントラストの強い、

ピーカンのち豪雨、というようなのもどうかと…

黒柳徹子とか吉永早百合張りにいけばいい。

森光子、森繁久弥然り。

タケシとか健さんのようになれば、これは官軍だ。

が、大半の元スターが食うためか目立つためなのか、

整形の他いろいろ小細工までして、

テレビのバラエティなんぞで、

恥も外聞もなくプライバシーを晒し、

晩節を汚すことを厭わない。

赤木圭一郎、坂本九、夏目雅子、

そして裕次郎。

いまでも永遠のスターであり続ける。

ジェームス・ディーン、グレースケリー。

この人たちも、皆若くしていなくなってしまったが、

全盛期の輝いた伝説だけが残る。

皮肉なことだなぁと、つくづく思う。

日本、自立。

いま思えば、彼は不思議な人だ。

野田という元首相のおっさんだが、

選挙ボロ負けを覚悟して、

一体なにをムキになっていたのか。

ここは謎である。

消費税を上げるといって、頑なだった。

増税の道筋をつくるとして、

周囲の意見も聞かなかったという。

この一点に於いて彼は一途だった。

誰かに頼まれたのか、と私は勘ぐりましたが。

で、挙げ句、民主党はご覧の通り。

それはそれで良かった。

で、行政改革に関して、

彼もしくは民主党は、全く無能だった。

そこに手をつけず、

原資を消費税に求めたのだろう。

片手落ちの政策に皆が納得する訳がない。

が、この法案が通ったとき、

野田さんは晴れやかな顔をしていた。

震災後の復興に遅れを生じさせ、

また尖閣の対中国政策では戦略的な考えもなく、

その弱みを突かれた。

この一連の流れをみても腹立たしい。

で、替わって登場した自民党の阿倍さんだが、

みんながこの政治家を、

手放しで喜んでいる訳ではない。

時代がうねるとき、ああいう人は必要だ。

その一点に於いて彼の存在が光っている。

が自民党も相当の悪役揃いで、

元を正せばとんでも利権集団のように思える。

これは、この政党の過去が示している。

こうなると、

この国の利を考えて行動している政治家は、

ほんのわずかではないかと思えてくる。

でなければ、

日本はいろいろな意味で、

とっくに自立している。

もちろん、外交、軍事に於いてもだ。

猿との攻防

元来、猿が嫌いだ。

以前、伊豆の波勝崎で、

猿の集団に囲まれたことがある。

どんなに手を出されても相手にせず、

決して目を見ないこと。

この原則どおりにその場を切り抜けたが、

かなりアタマにきた覚えがある。

これは思うに、

猿と人間の近親憎悪から生じるもののようだ。

人間でも猿顔の方とは縁が薄い。

過去、ロクなことがなかった。

きっと相性が悪いのだろう。

で、先日ベランダへ出ると、

さっと走ってゆく何かがいた。

とっさのことで一瞬アタマが働かなかったが、

その後ろ姿を見てカッときました。

我が家の庭に猿が佇んでいたのである。

更に腹立たしいことに、

コイツ、途中でこっちを振り返り、威嚇を始めたことだ。

私の知り合いの農家で、こんなことがあった。

畑を荒らされ、罠を仕掛けた。

犯人はイノシシらしかったが、

猿がかかった。

で、一晩放っておいたところ、

翌日に警察が来て、

動物虐待の容疑をかけられたという。

嘘のような話だが、本当だ。

猿も大変と思います。

生きる事情は皆同じ。

元を正せば、我々がいけないのも承知だが、

なんだかイライラするな!

でですね、

奴等をよくよく観察すると、

どいつも筋肉隆々なんです。

で、すげぇ毛深い。

とこれは関係ないが、

とにかく鍛え方が違うのである。

参ったな、というのが本音。