長い舌

なにが面白いのか

みんなケラケラと笑っている

人だかりの向こうでひとりの男が樽の上に乗り

口から火を吹き

目を見開いているのがみえた

赤い奇妙な衣装を身につけたその男が

今度は槍をみんなに向けて突くマネをする

笑った顔から突き出た長い舌は真っ白で

白目に血管が浮き出ているのが遠目にも分かる

そんな大道芸が

最近町のあちこちに現れては人目を惹いては

人だかりができるのだ

僕はあの火を吹いた男を以前見たことがあるが

それが何処だったか

とんと思い出せない

なぜだか嫌な予感がして

背筋に悪寒が走った

部屋に戻ってテレビをつけると

見慣れない男と女が裸で絡み合っている

男が横になった女に呟いた

「愛しているよ…」

直後に男がカメラに振り返り

ペロっと長い舌を出した

その薄汚れた灰色の舌には

冗談というシールが貼られていた

僕はなんだか息苦しくなり

窓を全開にすると

いままでかいだこともない異臭が鼻をつく

遠くで何かが炸裂する音がしている

窓下の通りを数人の男達が走りながら

「やっちまえ、やっちまえ!」と絶叫していた

胸騒ぎが起きて

洗面所に走って行って顔を洗うと

赤く濁った

いままで見たこともない液体がとめどなく流れ

僕はその場で卒倒してしまった

どのくらい経っただろうか?

うなるような轟音の音で目が醒めると

外はどんよりと暗くなっている

窓に近寄り空を見上げると

見知らぬ飛行体が上空を埋め尽くしている

咄嗟に逃げようと駆け出すと

今度は足元から地鳴りがして

部屋全体がガタガタと揺れ

僕は立っていられなくなり

そのまま窓の枠にしがみつく

窓下を

あの大道芸に集まっていた人達が

悲鳴をあげて逃げ惑っている

僕はあの大道芸の男の顔を

やっと思い出したのだが…

にほんブログ村 ポエムブログ ことばへ
にほんブログ村

併読のススメ

藤沢周平の「回天の門」を読みはじめたのが、

かれこれ一ヶ月前だったろうか?

割と分厚い本。ページ数にして、550ページ強といったところか。

それまで、アウトドアのMOOKなどを中心に読んでいたので、

ビジュアル中心に目が慣れたこちらとしては、

ちょっと細かい字が辛い。

しかし藤沢周平の作品は、

私の大好きなストーリー、テンポ、時代感なので、

かれこれ20冊以上は読んでいる。

主人公は江戸時代の武士または町の職人が多いが、

市井のひとばかりで、有名人とか大物は皆無に等しい。

登場する女性がとにかく美しい。

顔立ちだけでなく、心根の美人が多い。

この時代ならではの人の機微が、物語を分厚いものにしている。

と、ブックオフにふらっと立ち寄ったところ、

椎名誠さんの未読の本に出会ってしまい、即買い。

これが枕元に並んでしまって、交互に読んでいる。

「ごんごんと風にころがる雲をみた」というこの本は、

椎名誠さんが世界の果てで体験したものをまとめたエッセイ集。

寝る前に読むにはワクワク度が高く、

面白くて少し良くない。

ある時間でキッチリ本を閉じないと翌日に響くので、

そこら辺のケジメが難しいのだが。

で、昼とか夜の空いた時間は、当初「吉野弘 詩集」をぺらぺらとやり、

感動に浸っていたのだが、あるときお笑いの又吉直樹の本を手に入れ、

冒頭をチラ読みしたところ、かなり面白いので、そのまま続行。

こちらも併読となった次第。

このくらいなら、まあこちらのアタマさえ切り替えれば、

キャパの範囲内なのだが、

あるとき、

先輩の編集者のブログで紹介されていた池田晶子さんの本が無性に欲しくなり、

アマゾンで短絡的クリック買い。

到着早々、こちらにもハマってしまった。

で、吉野弘の詩集はなんというか、ことばの力をみせつけてくれて、

こちらとしてはこうべを垂れるしかない。

後はため息か…

そして又吉の、

いや正確には、せきしろ×又吉直樹の「まさかジープでくるとは」は、

かなり実験的な試みも入った意欲的な本で、

七五調や季語を無視した俳句っぽいものを載せたり、

意味深なエッセイや写真が満載である。

が、やはりこの人たちは光る何かがあるなと、

実感させられる一冊。

で、池田晶子さん。

もう亡くなられてしまった方だが、

哲学を平易な文で語ってくれる希有な才能の人。

さらっと凄いことを書くところが魅力である。

タイトルは「暮らしの哲学」。

この平凡な名前の本に、人生とか時間の観念とか、

無、無限、意識、無意識の話がさらっと書いてある。

しかし、難しいのではなく、深み。

季節感溢れる情緒豊かなエッセイとしても、

異彩を放っている。

さて、これら五冊を併読していると、

たまにアタマのカクテル状態に陥ることがある。

特にビジネス中心の昼間など、

あるセンテンスなどが不意に浮かび上がり、

手が止まることもしばしば。

企画書は完全にストップ、

コピーライティング低迷。

見積もりは間違いだらけ、は良くないけれど。

思うに、これらの併読は、

ある意味「毒」ではある。

仕事を阻害する要因としては、

金欠、恋愛に等しい邪悪な環境を作り出す。

が、

♪やめられないとまらない♪

併読は、ムカシ流行ったかっぱえびせんのコマーシャルの如し。

お陰様で、休日も仕事をしている有様です!

にほんブログ村 ポエムブログ ことばへ
にほんブログ村

スマフォサイトのすすめ

Googleが、スマフォサイトがないと検索順位が落ちますよ。

そんなことをアナウンスしています。

それも4月某日と期日指定していますので、

Googleにしては希有なことでして、

これは早急に対応した方が良いと思います。

スマフォサイトは、PCサイトをそのまま表示しても、

これはもう重すぎるし、アレコレと項目も多すぎる。

まず、直帰されてしまいますね。

スマフォ版は、シンプルイズベストをめざします。

PCサイトの基本項目をピックアップすることから始めます。

それを核に構築を考える。

いわば、店に例えると本店がPCサイトとすると、

スマフォサイトは支店。

またはアンテナショップ。

そんなイメージでしょうか?

逆に、モバイルの方が売上げ、

反応率が良いという業種の方は、

この際、考え方をひっくり返し、

スマフォサイトから構築し直してみる。

そしてPCサイトを後追いさせる。

こうしたモバイルファーストのケースもある訳です。

この際、あなたの業種、商品の特性を改めて点検し、

自社のサイトを徹底的に分析してみるのも、

良い機会かも知れません。

クルマに関する転向動機

アクセルを踏んでエンジンが唸る。

そういうのをちょっとカッコイイと思うのは、

もうすでに過去の人なのだ。

ドリフトとかタイヤを鳴らして加速するなんぞは論外。

そんな時代は、もうとっくの過去に過ぎ去った。

そんな美学にすがりつくオヤジというのは質が悪いので、

時代は更にオヤジを置いてけぼりにしてしまうのである。

目を覚ませ!

で、最近のクルマはというと、

そうですね、

何の音もせず、スッと加速し、

瞬く間に姿が小さくなる、

という具合。

新型は、静か、かつ速いのだ。

ハイブリッドとかEVとか、

その仕組みは私にはよく分からない。

というか、興味はないが、

とにかくそんな類いのクルマが

相当の勢いで増えているのは確かである。

対して、旧車を愛する方々も相当数いるらしく、

ミニクーパーとかカブトムシ、

レビン党、スカG党他、

いまだかなり生息しているのは確かだ。

現在、私の乗っているクルマはごく普通のVWゴルフだが、

それだってバックモニターやら、

なんとかオーディオシステムとか、

しゃべるナビとかいろいろ付いていて、

操作に一苦労する。

というかうるさい!

キーを差し込むと同時に、いろいろ機器が、

アレコレと一緒にしゃべるので、

車内がホントに騒々しい。

でですね、

最新のクルマはというと、

これがもう宇宙船状態なんですね。

あるとき、

これは新型のボルボですが、

そのキャビンを見せてもらったところ、

私は唖然とし、

よく分からないスイッチ類がズラッと並び、

持ち主にアレコレ聞いたのだが、

恐ろしいことに、実は私にも分からない、

というではないか。

人間置いてけぼり…

こういうクルマの進歩を見ていると、

運転のみに集中している時代ではないな、

それが返って危ないのではないか、

などと私なんぞは危惧してしまうのだが、

聞けばいろいろな安全装置とか安全システムが搭載されていて、

それはそれでよろしいらしいのだ。

ふーん。

とまあ、最近のクルマに割と失望していたのだが、

半年ほど前あたりから、

気になるニュースを耳にするようになった。

それは何を隠そう、

「自動運転」というキーワードであった。

私はこの類いのニュースが痛く気になり、

いろいろ調べたのだが、

実用化へのメドは立っているとのこと。

インフラが整えば、、

かなり近い将来の実用化も可能だという。

日産、ボルボなどがその技術の最先端をいくようだが、

いわゆるソフト系のGoogleとかAppleも触手を伸ばしているという。

こうした傾向は、市場がかなり有望であることを示している。

ただ、問題は万が一事故を起こしたときの責任とか、

そうした類いの法整備が遅れているのが現状らしい。

で、私が興味を示した発端は、

現役を引退したら何処へ住もうかという悩みだった。

いつまでも若者ぶってはいられない、

いつまで運転できるのかな、

そんな心配事を想像すると、

やはり駅近とか街中とか、

便利な場所への引っ越しを考えザルを得なくなる。

が、最近の自分的趣味からして、

あまり人の多いところとか繁華街に住むのはゴメンだ、

というのがあった訳で、

郊外に住みつつ何か良い移動手段があったらな?

と考えている最中だったのである。

そこに「自動運転」というキーワードが飛び込んできた。

私にとっては、かなり魅力的な近未来を想像させるニュースだった訳だ。

そう、

じじぃになったら、いまより更に静かな所で暮らしたい、

陽当たり良好、風光明媚。

小さな畑を耕し、近くには川とか湖とか海とがあって…

そんな希望を叶えてくれるのが、自動運転なのである!

街中などに用のあるときは、行き先をインプット。

私はクルマに乗っても、ハンドルは握らない。

で、景色を楽しみながら、いや読書ですか、

そんなことで時間を潰し、

めざすスーパーなり役所なりに自動で辿り着くという、

理想的なストーリー。

じじぃの入口に立った私が、

いまさら時代の流れに逆らったところで、

結構無理が祟っていたのは確かなことではある。

そこで、過去のこだわりを一切捨て、

今後の方針を一挙に180度切り替え、

時代の波に乗るというイージーな人間に変身することにした。

これが私の現在の姿なのである。

裏切り、罵倒、卑怯者。

そう、ムカシの仲間連中からは非難ごうごうだろう。

うーん、だが何と言われようと、

いまは自動運転の実現を切に望む。

ここは譲れない現在の私なのでありました。

にほんブログ村 ポエムブログ ことばへ
にほんブログ村